企業再生レポート
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2011年11月28日

企業再生とは何か?その7 (3)


前回、
「B銀行の回収金額は、A社が破産したときより、A社からa社に
 事業譲渡したほうが多くなるので、A社からa社への事業譲渡が
 可能となる」とお話しいたしました。


しかし、A社からa社への事業譲渡に関して、以下の大義が
必要です。

1、 A社の雇用をできるだけ確保し、失業者を一人でも
  少なくする社会貢献。

2、 A社の取引先の不渡り、支払い不能をできるだけ回避し、
  連鎖倒産等を最小限にする社会的貢献。

3、 A社が倒産することによってそのサービス(納品等)が
  無くなり一般社会への影響がある(例:その地域に一軒
  しかなく、替わりの無い必要不可欠な店がなくなる)。

4、 債権者にとって最大限の回収となり、債権者がその株主等から
  損害賠償訴訟を提訴される懸念が無い。

5、 A社の代表取締役若しくは、その一族から私財提供等の最大限の
  協力があり、役員やその一族が財産隠匿など詐害行為、偏頗弁済等
  の問題が全く無い。

6、 コンプライアンス(法令順守)において、A社、a社、その役員
  などにおいて、一切問題ない。

上記、1〜6を守った上で、再生の必須条件( 1営業利益 
2新設会社設立 3資金繰り)を満たせば必ず企業再生は
100パーセント成功します。

しかし、大半の場合は、条件面で多くの欠落がありますが、
それを補って成功に導くのがターンアラウンダーの腕と言う
ことになります。

また、実際には、経営者やその家族にとって、5や6が問題と
なります。

つまり、債権者としては会社や社員を守ってあげる代わりに
経営者は、経営責任の意味を含めて私財提供等最大限債権者に
債務返済に協力すると言うのが前提です。

虎は死んでも皮残す」の諺のように、本人(虎)は犠牲と成り代りに
会社(皮)や社員は残してあげようと言うことです。

何かそう言うことが、経営者として潔いと言うような「美意識」が
日本文化の中にはあるかもしれません。
いったん失敗したら「死んで償う=表に出てくるな」というような
風潮があるのも事実です。

しかし、上記のA社も含めて日本の99パーセント以上は、中小零細
企業で、その社長は多くのリスクを取ながら起業した人々なのです。

先ほどの話で言うとa社の社長は誰ができるのでしょうか?

たまたま、A社の社長が高齢でその子息に事業継承を考えていたと
したら、a社の社長を子息にさせるのは千歳一遇の機会かもしれません。
しかしそんな場合以外A社の幹部がa社の社長を請け負うでしょうか?

大半の場合はNGです。
社長以外リスクを取る人は少なく貴重な存在なのです。

コンプライアンス上、いったん失敗したら「死んで償う=
表に出てくるな」ということは、理解できます。
しかし、日本の大半が中小零細企業であるなかで、そんな社長を
「殺したら=表社会に出られなくしたら」いったい日本経済は、
だれが牽引するのでしょうか?

金融機関のサラリーマン社員が、法令を盾に、社長を現実社会から
抹殺しようとするのです。

起業経験もない金融機関のサラリーマン社員、つべこべ
言われるのは心苦しいことですが、企業再生の局面では、この
コンプライアンスの問題と、だれが社長をするのかという現実問題
をバランスさせることが実は、真の必須条件かもわかりません。


2011年11月21日

企業再生とは何か?その7 (2)


前回、「もしもA社が強引にa社に事業を乗せ換えたとしたら、
B銀行はどんな報復手段があるのでしょうか?」ということでした。

以下は、B銀行の報復手段として、考えられるものです。

1、 抵当権、根抵当権を取っている担保不動産の売却依頼
  →競売申し立て→競売に依る 抵当権の実行

2、 その他A社所有不動産の差し押さえ→競売申し立て→
競売に依る回収

3、 A社所有資産の差し押さえ→返済訴訟

4、 A社及びA社の役員に対する債権者破産申し立て

5、 A社への貸し金に対してそれが詐欺行為であったという
A社及びA社役員に対する損害賠償訴訟


このようにB銀行の報復手段は1〜5まで可能です。
しかし一般的には4、5は大変稀なことです。


このままですとらちが明きませんので、A社は、B銀行と
話し合います。
いわゆる債権者交渉です 。

話の流れを以下に示しますと

㋐:B銀行からは「残債務を全額返済せよ」の一本調子です。

㋑:A社は今即時に破産した場合のB銀行への返済(配当)額をB銀行に提示します。

㋒:B銀行への返済(配当)額よりも多い額を事業譲渡対価としてA社の事業をa社に譲渡させてもらいます。

㋓:a社はA社に事業譲渡対価を支払い、A社はそれをB銀行に返済します。


結果として、B銀行は、A社が破産したときのB銀行に対する配当○○○万円よりも配当○○○万円+事業譲渡対価△△△万円と
なり、a社に事業譲渡したほうが、回収金額が多くなることによって
合理的経済性の名の下に、A社からa社への事業譲渡が可能なります。


2011年11月14日

企業再生とは何か?その7


前回までの6回で「肝」=「必須条件」というかたちで、
  1,営業利益
  2,新会社の設立
  3,資金繰り

という3つの肝をお話いたしました。


そして今回は
必須条件4=債権者対策 です。

企業再生の過程で新設法人設立可能で、その新設法人の
営業利益が黒字で、資金繰りが回ったとしたら、これは
その新設法人が存在可能と言うことです。

しかし、旧会社はおそらく金融機関に対する残債務が多く
あることと思います。
今回はその対策方法です。

仮に旧会社(元々の会社)を「A社」とします。
A社の残債務に相対する残債権をもつ金融機関(銀行)を「B銀行」とします。
そしてA社の新設会社を「a社」とします。

まず、B銀行の立場で考えると
@:A社は残債務を完済せよ > A:a社はA社の残債務を引き継げ

上記@、AですとB銀行も残債権の取りこぼしがなく大満足です。
しかしこれですと、A社は新設会社のa社を作った意味がありません。

そこでA社は、
1:A社は残債務を返せません > 2:A社をa社に載せ変えたい
a社はA社の残債務を引き継がない


上記1、2ですとA社は大満足ですがB銀行は許しません。
結局、@Aと1 2 は平行線で妥協点がありません。


もしもA社が強引にa社に事業を乗せ変えたとしたら、B銀行は
どんな報復手段があるのでしょうか?


2011年11月07日

企業再生とは何か?その6


借入金なしで資金繰りが成り立つ方法とは?

元来、会社の資金が余る、足らないと言う現象は
なぜ起こるのでしょうか?


まず、その月末の資金残高は、売上金から原価支払金を
引いた金額となり、月末に給料等の経費を支払った残りが
資金残高です。


月間売上高(月内入金済分)−月間仕入高(月内支払分)−月間経費

この計算式がプラスなら新会社は、銀行から借入する必要はなく、
極端に言うと資本金も不要と言うことになります。


そんなことがあるものかというご批判があろうかと思いますが、
例をあげてご説明いたしますと、飲食店をイメージしてください。
日々の売上は毎日お店で上がります。
もしもカード支払や、掛売りがなければその月の売上は必ず
その月末には残高としてあるでしょう。


また、一方支払は、業者から食材等を買って最短で、月末に
支払ったとしても売上から原価を引いた分(粗利益)が残る筈です。
そしてその(粗利益)から経費(給料やその他の経費すべて)を
引くと純利益(税前利益)となります。

余りにも当たり前過ぎて「それがどうなんだ」と怒られそうですが、
これが全てです。


一般的には売上と原価支払とどちらが早いかと言う問題ですが、
おそらく半数以上の業種では、
月間売上高(月内入金済分)−月間仕入高(月内支払分)が
+ではないでしょうか。


もしも、これがマイナスなら、プラスになるようにしなければなりません。


また、企業再生の必須条件の第一番目で申しましたように、営業黒字が
絶対の条件ですから、月間売上高−月間仕入高−月間経費は、黒字です。


ただ、資金繰りで考えたときに
月間売上高(月内入金済分)−月間仕入高(月内支払分)−月間経費
がマイナスだとしたら、その分だけプラスに変更できればいいのです。

それができれば銀行に頭を下げ資金を借り入れることなく経営できるのです。


では、マイナスのときどんな手段があるでしょうか?

1、掛売り(売掛金)があるとき・・・・・・
  入金までのサイトを短くなるように交渉します。
  その分の金利等を値引き条件に交渉すればどうでしょうか?

2、原価支払が現金のみでサイトが短いとき・・・・・・
  先ほどの逆で支払まで長くなるようにお願いし、現金払い(手形でない)
  である事を強調し、末締め翌末払い等の条件になるように交渉します

3、月間売上高(月内入金済分)−月間仕入高(月内支払分)−月
  間経費がマイナス・・・

 一般的には新会社の資本金で賄うか、そのマイナス分を金策する必要があります。


では、新会社の資本金を集めてもそのマイナス分を補えない場合は、どうしたらよいのでしょうか ?

業種にもよりますが、おそらくその金額は1ヶ月分の月間仕入高が最大
であり、現金売り等を増やして入金のボリュームを多くするなどの努力
をしているなら、一般的にはそのマイナス分は数日分の仕入原価ぐらい
になるでしょう。


これぐらいの足らず分ですと旧会社との兼ね合いでなんとか帳尻を
合わせられるはずですが、これは社長にしかできない仕事です。


つづく

 

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